2010 Fiscal Year Annual Research Report
地上分光撮像観測による金星大気化学・力学過程の研究
Project/Area Number |
21540460
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩上 直幹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (30143374)
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Keywords | 地球惑星上層大気 / 金星 |
Research Abstract |
平成22年8月の東方最大離角時における、ハワイ・マウナケアNASA・IRTFでの観測申請が受理され、現地時間8月2-9日の8タを割り当てられた。申請タイトルは"Detection of waves in the Venus'atmosphere by mapping the CO_2 absorption"だったが、この観測では副産物として雲上HDO混合比の定量にも成功した。主に1.7μm域と2.3μm域で分光撮像を行い、CO_2 P24 5838cm^<-1>線およびCO_2 R12 4426cm^<-1>線付近のスペクトルを昼半球全面にわたりドリフト・スキャンを用いて観測した。冷却システムのトラブルなどもあったが、天候は良好でほぼ8日分のデータを得ることができた。HDOは4116cm^<-1>域で測定した。 CO_2吸収に関しては吸収等価幅を求めて緯度・経度座標に展開し、8日分をつなぎ合わせてからフーリエ的に解析した結果、周期5.5日波数1の波を見出した(代表高度は60-65km)。この高度域は紫外でみえる高度70kmと夜側赤外でみえる高度50kmの中間となっており、波検出の前例はない。HDOに関してはS/N比をかせぐため経度固定・緯度3区分で観測した。顕著な緯度分布は見られなかった(代表高度は62-67km)。D/H比に関しては地球標準値の140倍となり、最近話題となっているD/H比の高高度増大(雲下30kmで100倍、高度90kmで240倍)を裏付ける結果となった。 CO_2吸収による大気波動検出は修士論文となり、4月の欧州地球科学連合で発表予定。現在投稿論文準備中。HDOに関しては投稿論文をほぼ完成し、現在英文添削中。また金星探査機「あかつき」搭載カメラの実行可能性を検討した論文(Takagi and Iwagami, 2011)はEarth Planets and Space誌に受理された。
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Research Products
(25 results)