2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540461
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
中川 朋子 Tohoku Institute of Technology, 工学部, 教授 (40222161)
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Keywords | 月 / MHD波 / ホイスラー波 / 太陽風 / 反射プロトン / かぐや衛星 / 磁場変動 / 磁気異常 |
Research Abstract |
月が太陽風にさらされている期間中、特定のピーク周波数を持たない0.03-5Hzの周波数帯の磁場変動が月探査衛星「かぐや」搭載MAP-PACE/LMAG磁力計によって観測された。この周波数帯はイオンサイクロトロン周波数よりも高い。この磁場変動は、月面の固有磁場とはほとんど無関係に月の昼間側上空100kmの高度でほぼ常に観測され、さらにターミネータよりやや夜側に回り込んだところ(天頂角123度以内)でも観測されている。真夜中側では観測されていない。各成分に変動があるだけでなく磁場強度にも変動が見られ、圧縮成分があることが分かる。昼側で常に観測されること、および観測された周波数から、月面で反射したプロトンが励起したホイッスラー波の可能性が考えられる。この波の観測範囲はSaito et al.(2008)による反射プロトンの観測範囲と重なっているが、プロトンの検出範囲よりやや広かった。これは反射プロトンがサイクロトロン運動によって到達する範囲と合うようである。 また一方、月が太陽風中にあるとき、月の昼間側ないし昼夜境界付近で、約100秒周期の磁場変動が「かぐや」衛星搭載の磁力計(MAP-LMAG)によってしばしば観測されている。この波は、ちょうど地球のBow Shock前面で反射されたイオン励起するupstream waveと同じように、月によって反射されたプロトンが太陽風中のMHD波とサイクロトロン共鳴したものと考えられる。プロトンの反射には月面そのものによる散乱(Saito et al., 2008)と、月の固有磁場と太陽風磁場の相互作用による反射の2つの可能性が考えられる。そのいずれが重要かを調べるため、「かぐや」MAP-LMAGによって観測された磁場データ(1秒平均値)を300秒ごとにフーリエ変換し、100秒周期の成分のパワーを月面上にマップとして示してみた。その結果、固有磁場の強いところに集中していることが示された。つまり、この100秒周期の波は、月の固有磁場によって反射されたプロトンが励起したものと考えられる。
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Research Products
(4 results)