2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540461
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
中川 朋子 東北工業大学, 工学部, 教授 (40222161)
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Keywords | 月 / MHD波 / ホイスラー波 / 太陽風 / 反射プロトン / かぐや衛星 / 磁場変動 / 磁気異常 |
Research Abstract |
月によるウェイク形成とその周辺の電場構造を調べるため月を完全不導体と近似し、吸着した電荷は月面上を移動しないという仮定で2次元粒子コードによるシミュレーションを行った。前年の計算では太陽風磁場が入っていなかったが、今般、太陽風とともに流れる磁場を再現するため、太陽風速度に対し斜め-45度の磁場と、それを横切ることにより生じる電場を初期条件として与え、以降は計算によって電場、磁場を求めた。プロトンのラーマー半径が天体の半径より小さくなるような強い磁場強度を与えて計算すると、天体の昼夜境界よりやや夜側のあたりから、磁力線より7-8度ずれた方向に天体の半径の10倍以上の距離にわたって筋状の電子密度の上昇がみられた。これは、太陽風磁場が月の夜側の負に帯電した領域に達した時、ポテンシャルを感じて磁力線に沿って流出する電子流として説明できる。天体の夜側の帯電による静電ポテンシャルが電子の熱速度程度のため、磁力線に沿って流出する電子流もほぼ電子の熱速度程度となっており、これと太陽風バルク速度との合成で、流出電子の筋の方向が決まる。 一方、月が太陽風中にあるとき、「かぐや」衛星搭載の磁力計(MAP-LMAG)によって月の昼間側ないし昼夜境界上で観測された約100秒周期の磁場変動について、月によって反射されたプロトンとのサイクロトロン共鳴を仮定し伝搬方向、偏波、周波数、太陽風速度、太陽風磁場を用いて共鳴条件を調べた結果、太陽風中のMHD波と反射プロトンが反平行にぶつかる場合にのみ共鳴し得ることが示された。反射プロトンの向きが入射太陽風速度とは異なることから、衛星では非常に低い周波数で観測されるのに、それより一桁以上高い周波数のサイクロトロン周波数で共鳴が起こることが説明できた。
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Research Products
(8 results)