2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540461
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
中川 朋子 東北工業大学, 工学部, 教授 (40222161)
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Keywords | 月 / 太陽風 / 磁場変動 / MHD波 / 反射プロトン / かぐや衛星 / サイクロトロン共鳴 |
Research Abstract |
かぐや衛星によって月周回軌道上100kmの高度で発見された約100秒周期のUltra Low Frequency(ULF)波の発生機構は、地球磁気圏前面の衝撃波の上流のULF波と同様、反射プロトンと太陽風中の磁気流体波(MHD波)とのサイクロトロン共鳴と考えられるが、地球前面衝撃波上流のULF波と大きく異なっている点が磁場の回転方向であった。衝撃波上流のULF波では、9割以上が、観測者から見て左回りの波として検出されていたのに対し、月周回軌道上ではおよそ53%が左回り、残り47%が右回りであった。この比率はULF波のパワーに関わらずほぼ一定であった。この原因は、波を立てているプロトンの反射する方向の違いによると考えられる。衝撃波上流のULF波の場合、左回り太陽風の流れの方向と波数ベクトルの方向が近いために、反射粒子から見て左回りに見えてサイクロトロン共鳴が起こるようなる場合は衛星から見てもドップラーシフトによって左回りに見えるのに対し、月周回軌道上のULF波の場合は、太陽風の流れの方向と反射粒子の運動方向がまちまちであるためにドップラーシフトへの寄与が異なり、衛星からみると右回りなのに反射粒子から見ると左回りに見えるという場合が起こり得て、このことが、右回り、左回りの両方がほぼ半分ずつ観測された原因と考えられる。かぐや衛星によって観測された波の伝搬方向は月面に垂直に近く、上記の説明を裏付けている。観測された典型的な例について波数ベクトルの方向を求め、サイクロトロン共鳴条件を検証した結果、反射プロトンの速度の方向と波数ベクトルの方向が揃っていて、かつ、入射する太陽風の流れとは方向がすれている場合にのみ解が存在することがし確認できた。同時にまた、この領域ではプロトンの温度が上がっていることも示された。
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Research Products
(8 results)