2009 Fiscal Year Annual Research Report
磁気圏尾部リコネクション領域で観測される大振幅電場の研究
Project/Area Number |
21540464
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
篠原 育 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 准教授 (20301723)
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Keywords | プラズマ電場計測 / 粒子シミュレーション |
Research Abstract |
宇宙機搭載電位プローブによる宇宙空間電位計測を精度よく行うためには,プローブ電位の基準電位となる宇宙機電位を正しく評価する事が必要不可欠である.宇宙機周辺には,宇宙環境由来の背景プラズマや宇宙機自身が放出する荷電粒子が存在することが知られているが,宇宙機はこれらの荷電粒子と相互作用し,宇宙機に流入する正味の電荷量によって宇宙機電位が決定される.地球磁気圏においては,背景プラズマ密度が0.1/cc程度と非常に希薄であり,宇宙機日照面より放出される光電子が最も支配的な電流成分となる.この様な希薄な背景プラズマ環境においては,放出光電子のフラックス値に加えて,そのエネルギー分布,あるいは,速度分布を知る事が,宇宙機電位の定常値(飽和値)を評価する上で必要不可欠である.本研究課題の本年度の研究では,衛星に搭載した電場プローブによる電場計測に対して,光電子放出の影響によるノイズ等を定量的に評価するために3次元full-PIC静電コードを用いたシミュレーションをおこなった.具体的には,速度分布に関する放出光電子のモデル化を行い,シミュレーションによってGEOTAIL観測データより解析的に得られた宇宙機電位と光電子電流の相関について検証を行った.光電子電流と宇宙機(GEOTAIL衛星)電位の相関をシミュレーションと理論値で比較した結果は,電流収集は理論値と良く一致しており,収集電流に対して,宇宙機周辺に拡散する光電子の静電的影響は無視出来る事が分かった.また,衛星電位と光電了電流の相関が定性的に一致する.これまでの解析結果からは,GEOTAIL衛星の電場観測に対して,光電子放出による大きなノイズの発生は認められず,今後の大振幅電場の解析に対して計測上のノイズによる影響の可能性に対してある程度排除することができると考えられる.
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Research Products
(2 results)