2010 Fiscal Year Annual Research Report
大振幅アルフベン波による宇宙プラズマ加熱プロセスの観測的検証
Project/Area Number |
21540465
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
松岡 彩子 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所・宇宙プラズマ研究系, 准教授 (80270437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 拓 高知工業高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (80455469)
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Keywords | プラズマシート / 磁気圏 / アルフベン波 / イオンサイクロトロン不安定 |
Research Abstract |
地球磁気圏のプラズマシートがどのようなプロセスで加熱されているのかは、磁気圏物理学における大きな課題である。磁気圏探査衛星Geotailの電場・磁場およびプラズマ粒子データを用い、プラズマシート内で観測される大振幅の非圧縮電磁流体波動である、アルフベン波の解析を行った。その結果、地球磁気圏尾部において、多くの大振幅アルフベン波イベントが発見された。更に、プラズマの分布関数等との比較研究により、大きなエネルギーを運んでいるアルフベン波はイオンビームのサイクロトロン不安定によって立てられており、イオンビームの減衰と共にアルフベン波も減衰するらしいことがわかった。リコネクションによって生じたイオンビームのエネルギーが、アルフベン波のエネルギーとなり、それがプラズマシートの加熱に寄与していることが示唆された。アルフベン波の運ぶポインティングフラックスの出現頻度を、プラズマの特徴によって分類して解析した。更に平成22年度は、アルフベン波によって運ばれるポインティングフラックスの磁気圏内における分布を統計的に求め、プラズマシートの持つ総熱エネルギーと比較した。その結果、アルフベン波のポインティングフラックスが、地球に近づくほど減っていくことがわかった。アルフベン波の出現頻度や空間スケールを考慮すると、プラズマシートを加熱する十分なエネルギーを運んでいることがわかった。7月に38th COSPAR Scientific Assemblyにて解析結果の口頭発表を行った。
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