Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 哲弥 島根大学, 総合理工学部, 准教授 (90303809)
入月 俊明 島根大学, 総合理工学部, 教授 (60262937)
松原 尚志 兵庫県立人と自然の博物館, 自然環境評価研究部, 主任研究員 (30311484)
兵頭 政幸 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 教授 (60183919)
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Research Abstract |
本研究は,この20数年間の中国地方における第三系研究について総括し,地質学,年代学,古生物学,堆積学,火山学,古地磁気学など多方面から総合的に検討することにより,テクトニクスや地史を明らかにすることを目的とするものである。研究の概要は以下の通りである。 島根県東部の大森層と布志名層,島根半島の古浦層と牛切層,隠岐島前の市部層,新見市の備北層群,鳥取市の鳥取層群,岡山県浪形地域の浪形層について地質調査を行った。その結果,前・中期中新世における堆積環境の推定や堆積場の復元を行い,日本海形成前後の堆積盆地の発達史に関して知見を得た。布志名層,市部層,浪形層からは貝類化石試料の採取を行い,島根大学所蔵の標本も含めて記載した。浪形層の貝類化石を検討した結果,この地層は後期始新世であることが明らかとなった。 佐田層から採取した火山岩試料中の斜長石について^<40>Ar/^<39>Ar年代測定のための中性子照射を京都大学原子炉実験所にて行った。古浦層の凝灰岩を採取し,(株)京都フィッション・トラックにジルコンのフィッション・トラック年代測定を依頼し,18Ma前後の結果を得た。 布志名層から採取したKaneharai kaneharai fujinaensisとChlamys meisensisについて岡山理科大学にてCLおよびEPMA分析を行い,貝化石断面の内部構造から成長記録を推定した。また,隠岐島後久美層から採取した有孔虫を含めて安定炭素と酸素の同位体比分析をアリゾナ大学で行った。有孔虫については2次的な影響を受けており,良好な結果は得られなかった。Kaneharaiに関しては10年間に及ぶ棲息期間の規則的な同位体年変化が明瞭となり,当時の棲息環境の推定に大きく役立つと思われる。今後,Chlamysも含めて,新たな試料を採取し,測定数を増やして解析を進める方針である。
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