2010 Fiscal Year Annual Research Report
フラッシュ洪水による射流領域の堆積作用およびその地層記録への保存ポテンシャル
Project/Area Number |
21540474
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
前島 渉 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20173700)
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Keywords | 射流 / 反砂堆 / 堆積作用 / シート洪水流 / フラッシュ洪水 / 国見累層 / タルチール累層 / カルン湖 |
Research Abstract |
福井県の新第三系国見累層に関する調査研究では、扇状地堆積物中のとくに下部扇状地起源と考えられる地層に、低角度の斜交層理がよく発達することが確認された。このような斜交層理はこれまですべて射流領域での反砂堆起源と考えていたが、より詳細な検討により、いくつかのタイプに区分されることが明らかとなった。それらの各タイプがどのような水力条件の違いを示すのかについてはまだ明確にはし得ていないが、常流の低領域/高領域境界、常流・射流境界領域、射流領域それぞれでの堆積作用を反映していることが推察される。この点については次年度以降、実験研究も含めて取り組む課題である。 インドのタルチール累層に含まれる大規模なシート洪水流堆積物については研究がほぼ完了しているが、補足的調査を実施した。その結果、大規模なシート洪水流の減衰過程でチャネルが形成されることによって流水の収束がおこり、そのために高流速が維持されて射流領域の流れが出現し得たことが明らかとなった。この成果は一連の大規模洪水流堆積物のイベント解析に重要な視点となるであろう。 エジプト、ファイユーム盆地カルン湖北岸の完新世段丘層の研究では、既に得ている野外調査データの解析を行ない、ギルバート型デルタのトップセット部とフォーセット部で反砂堆起源とみなされる低角度斜交層理にタイプの差異があるかどうかを検討した。現在のところ明確な差異は認定されていないが、さらに検討を進める予定である。
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