2009 Fiscal Year Annual Research Report
小型有殻化石群と生痕化石から探るカンブリア爆発の初期段階の古生物学的研究
Project/Area Number |
21540482
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大路 樹生 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (50160487)
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Keywords | カンブリア紀 / 多細胞動物 / 適応放散 / 進化 / 小型有殻化石 / 生痕化石 |
Research Abstract |
カナダ東部ニューファンドランドの先カンブリア系最上部~カンブリア系最下部の連続セクションで調査を行い,主に生痕化石群の出現,多様度,サイズ分布,密度分布等を調査した.その結果,PC-C境界直後,および最下部化石帯であるTreptychnus pedum帯の最上部(次のRusophycus avalonensis帯最下部)の2度にわたって生じていることが明らかになった.また,Rusophycus avalonensis帯の生痕化石の密度,サイズ分布はそれ以前に比べて格段に変化し,そのレベルはカンブリア紀中期の同様の環境に見られる生痕化石に匹敵すること分かった(例えばアメリカ,ワイオミング州北部のWolsey shale層に見られるものと比較).このことから,生痕化石を形成する動物群はカンブリア紀最初期に2度の多様化を示した可能性を見いだした. さらに中国雲南省梅樹村周辺のカンブリア紀最初期の地層から多くの小型有殻化石を抽出し,そのうちプロトコノドントと呼ばれている化石群の形態,内部構造,鉱物種などを調べた.また現生の有顎動物の頭部に位置する触手(Grasping spines)の形態解析も合わせて行った.その結果,プロトコノドントと呼ばれている小型有殻化石は,おそらく有顎動物の触手と考えられることが明らかになった.このことは,カンブリア紀最初期に小型捕食動物として有顎動物が中層水に生息した可能性が高いこと,そして当時のカンブリア紀の中層水の生態系がかなり進化した段階にあることが明らかになった.
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Research Products
(3 results)