2011 Fiscal Year Annual Research Report
小型有殻化石群と生痕化石から探るカンブリア爆発の初期段階の古生物学的研究
Project/Area Number |
21540482
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大路 樹生 名古屋大学, 博物館, 教授 (50160487)
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Keywords | カンブリア紀 / 多細胞動物の多様化 / 進化 / 生痕化石 / 小型有殻化石 / ニューファンドランド / 貴州省 / ゴビ・アルタイ |
Research Abstract |
当年度は、1)カナダ、ニューファンドランドでのカンブリア系最下部の生痕相化の研究、2)中国のカンブリア紀前期の異なる堆積相に対応した生痕相の分化の確認、3)モンゴルの最下部カンブリア系の生痕化石相の研究、の3点を主に行った。 1.ニューファンドランドではカンブリア系最下部のTreptichnus Pedum帯の調査をすでに終了していたが、その上に重なるRusophycus avalonensis帯の生痕に関する調査(種類、サイズ、分布密度等)を継続して行った。その結果、Rusophycus avalonesis帯の直下で急増した多様度と密度分布がこの帯でも継続すること、R.avalonesis帯の生痕の密度を示す指数(lchnofabric index)はカンブリア紀中期のもの(例えばワイオミング州北部のWolsey Shale層)に相当する高さであることが明らかになった。 2.中国貴州省に分布するカンブリア紀初期の後期の地層であるChintingshan層と、同時期のBalang層の生痕相を比較した。堆積相よりChintingshan層は比較的浅海の地層と考えられ、Planolites isp.,Cruziana isp.に加えて、Trichophycus isp., ?Treptichnus Pedum, Monomoerphichnus lineatusなど堆積物の表面およびその内部に浅く潜る種類が多数産出した。それに対し、Balang層はやや沖合の環境に堆積した地層と考えられ、ここからはSpirorhaphe isp.,?Bergaueria ispなど、堆積物表面で活動する動物の生痕化石が多く見られた。このように、カンブリア紀初期の後期では、最初期には見られなかった、環境に応じた生痕相の分化が確認出来た。また雲南省のカンブリア紀最初期の生痕化石はニューファンドランドの生痕相と比較して高い多様度を有し、当時の気候あるいは地理の違いによる多様度の相違を認めることが出来た。 3.モンゴル西部のゴビ・アルタイ地域を調査し、カンブリア紀最初期の生痕化石群を認識した。今後当地の炭酸塩岩に含まれる小型有殻化石と比較検討し、生層序に役立てる計画である。・
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Research Products
(7 results)