Research Abstract |
地球においてマグマが最も多量に生産されている場所は東太平洋中央海嶺である.また北西太平洋に存在するシャツキー海台は,現在の活動はないが,噴火当時(約1億5千万年前)は中央海嶺と同程度のマグマを噴出した巨大火山である.これら海底の巨大火山は,未だ明らかになっていないマグマの生産や分化を知る上では重要な研究対象である.本研究の目的は東太平洋中央海嶺およびシャツキー海台を対象として溶岩,貫入岩,ハンレイ岩の記載および化学分析を行うことであった.そしてハンレイ岩の溶融実験を行い,未だ明らかになっていない地下でのマグマの分化過程を解明することであった. 平成23年度は本研究の最終年度であったため,国際雑誌や国際学会に研究結果を公表することに重点を置いた.東太平洋中央海嶺の研究に関しては,(1)最も未分化なハンレイ岩組成マグマからの低圧での分別結晶作用により溶岩やハンレイ岩の組成バリエーションの違いを説明できること,(2)溶岩マグマよりも貫入岩マグマの方が密度が高いために,マグマの密度が噴出を決める要素であること,等を明らかにし,アメリカ地球物理連合の学会誌へ掲載した(Sano et al.,2011,G-Cubed).シャツキー海台の研究に関しては,(1)海台は4種類のマグマから形成されたこと,(2)マグマ組成は時代と共に多様になっていったこと,等を明らかにし,地球惑星科学連合2011年度連合大会,ゴールドシュミッド2011年会議,アメリカ地球物理学連合2011年秋季大会等で発表すると共に,学会誌へ投稿および掲載を行った(Sager et al.,2011;Sano et al.,G-Cubed投稿中).
|