2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540501
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
RAIMBOURG Hugues 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 招聘研究員 (40509709)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小暮 敏博 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (50282728)
|
Keywords | マイロナイト / 斜方輝石 / 結晶粒界 / 転位 / 化学組成 / 走査型透過電子顕微鏡 / 単斜輝石 / 緑泥石 |
Research Abstract |
今年度は、まず昨年度観察した様々なミスオリエンテーション角(MO角)の小角粒界のTEM-EDSによる組成分析を行った。MO角が10°以上のインコヒーレントな粒界ではCaの濃集が見られ、明らかにこのような粒界が原子拡散の経路としての機能していることが示唆されたが、予想に反して(001)[100]刃状転位が並んでいるMO角が1-2°の小角粒界でもCaの偏析が見られた。その詳細を明らかにするために走査型透過電子顕微鏡(STEM)による高空間分解能な組成分析を行った。その結果、Caはひとつの転位が2つ以上の部分転位に分かれ、その間に形成される単斜輝石(Cpx)構造に濃集し、しかもCaが増えている分Feが減少していることが明らかになった。つまりCpxのM2サイトに存在するFeの約半分がCaと置き換わっており、小角粒界の刃状転位は化学組成的にも非常に特徴のあるものとなっていることが初めて示された。 この他にも球面収差補正装置を用いた超高分解能STEMによる刃状転位の観察により、上で述べた部分転位間の結晶構造は間違いなくCpxであることを確認した。またMO角が1-2°程度の小角粒界を形成する刃状転位は、これまでの報告されている部分転位によるCpx構造以外のものも存在することがわかったが、その原子配列については現在解析中である。 この他、今年度は宮城県延岡の付加帯内の断層近傍に見られる層状珪酸塩鉱物(具体的には緑泥石)中に塑性変形に対応した積層構造が記憶されているのではないかという予想のもと、フィールド調査と試料採集そしてTEMによる解析を行ったが、試料はすべて再結晶化を受けているらしく、緑泥石に一般的な積層構造しか観察されなかった。
|
Research Products
(2 results)