2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540502
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡部 直樹 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (50271531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 宏 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (00400010)
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Keywords | 地球外物質化学 / 重水素濃集 |
Research Abstract |
本研究の目的は水分子の重水素濃集に対する星間塵表面反応の寄与を実験により調べることである.昨年度までにOH+H_2→H_2O+Hの反応による水分子生成の有効性を明らかにした.同時に上記反応を重水素置換した反応系では,OD十H_2→HDO+Hが進む一方でOH+D_2→HDO+Dが起こらないことを示した.今年度は,同様の反応系で異なる重水素置換体を用いた実験:OH+HD,OD+HDを行った.HDは市販の同位体ガスを用い,OH(OD)はH_2O(D_2O)ガスをマイクロ波放電で解離生成し,冷却した後HDとともに低温基板に蒸着した.その結果,前者の反応ではH_2Oが,後者ではHDOが主生成物であった.これは,いずれの反応でもHD分子からHが引き抜かれたことを意味し,反応系の実効質量の小さい方が起こりやすいというトンネル反応の特性から理解できる.昨年度までの結果と総合すると,水酸基と水素分子から水分子を生成する場合,重水素濃集には水酸基がD化(つまりOD)していることが本質的で,その後D化した水素分子(HD,D_2)が反応したとしても,それ以上の重水素濃集はきわめて起こりにくいということが分かった.本研究では,過酸化水素(H_2O_2)とその重水素体と水素原子と反応による生成プロセスを十分に調べることができなかったが,今後,さらに研究を進める予定である.
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Research Products
(30 results)