Research Abstract |
プラズマからの輝線スペクトル強度比を用いた分光診断は,絶対感度較正を必要とせず(波長相対感度のみ),衝突輻射モデルと組み合わせることで電子密度および電子温度を推定する有用な方法である.その手法として,従来グレーティング分光器による空間有限点のスペクトルを得る発光分光法か,あるいは干渉フィルタによる単一波長のイメージング計測が用いられてきた.本研究では両者の欠点を補う計測法として可変波長液晶リオフィルタによる分光イメージング法を提案し,その適用可能性を検討している. 前年度までにプラズマ中のヘリウム原子のイメージング分光計測への適用の見込みがついたため,本年度は計測システムの改善・確立を目標とした. 従来はCCD等の2次元検出器に対し,写真レンズを対物レンズとして用い,その先端に液晶リオフィルタを設置していた.その配置では,視野の多くがリオフィルタ筐体にケラレ,さらに,結象位置からずれたケラレ部分の境界がボケとなって軸外光の減衰を引き起こすため,絞り(F値)を大きくすることで被写界深度を深め,境界を鮮明にした状態で計測をおこなわざるをえなかった.ただし,著しい光量の損失を許容しなければならなかった. そこで,写真レンズを3本用い,接写(マクロ撮影)光学を導入した.1:1のマクロレンズ光学系の平行光部分にリオフィルタを挿入し,中間結像面へ対物レンズでプラズマの像を導くことで,視野が有意に拡大し,かつF値が小さい明るい光学系を実現した,本配置により,口径が小さいリオフィルタの利用価値が向上し,対物レンズの選択の自由度も高まった.これにより,計測法として確立された配置が得られたと言える.
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