2010 Fiscal Year Annual Research Report
電子温度・密度および分子振動・回転温度計測のための水素分子衝突輻射モデルの構築
Project/Area Number |
21540508
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
澤田 圭司 信州大学, 工学部, 教授 (40262688)
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Keywords | 水素分子 / 衝突輻射モデハ / プラズマ診断 / 電子温度 / 電子密度 / 振動温度 / 回転温度 / 可視分光 |
Research Abstract |
平成22年度は、衝突輻射モデル構築の手始めとして、融合原子の主量子数が2,3,4の電子状態について、振動・回転状態を考慮したコロナモデルを構築した。我々の高周波水素プラズマで観測されるシングレット系列のI^1II_g^-→C^1II_u、J^1Δ_g→C^1II_u、トリプレット系列のFulcher帯d^3Σ_u→a^3Σ_g^+、e^3Σ_u^+→a^3Σ_g^+の発光線強度から各励起分子密度を計算し、コロナモデルによる計算値との比較を行ったところ、d^3Σ_u、J^1Δ_gの励起準位ポピュレーションは実験値と計算値が良い一致を示したが、I^1II_g^-、e^3Σ_u^+については実験値が計算値に対して最大で3.4倍大きい値となった。この不一致はモデルに使用した自然放出確率および励起断面積によるものだと考えられる。平成23年度は、これらの文献調査をより徹底的に行い信頼性の高いデータをモデルに組み込む。また、実験条件の違うプラズマでの発光線解析を行い、モデルの信頼性を評価する。平成22年度は上述のコロナモデルに加え、励起準位間の遷移を考慮した衝突輻射モデルの構築に着手した。モデルでは、励起準位問の励起断面積のうち、水素分子のデータが入手できていないものについては、ヘリウム原子のデータを代用して組み込んだ。平成23年度は、励起状態間の電子衝突遷移についても、文献を広く調査し、可能なものはモデルに組み込んでいく。また、励起準位間での励起分子の生成・消滅が起こる高い電子密度のプラズマを我々の実験装置で生成し、衝突輻射モデルの信頼性を評価する。
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