Research Abstract |
近年,液体が関与するプラズマが注目されている.その一つの理由として,近年の大気温暖化等に代表される環境問題が深刻化する中で,水の改質,液体廃棄物の処理に代表されるように,液体関連の処理技術が強く要望されるようになったことが挙げられる.液体とプラズマとの相互作用の仕方としては,マクロ的には,液面とプラズマとの相互作用,ミクロ的には,液中気泡や気中液滴が想定される.本研究では,こうした液面とプラズマとの相互作用を理解するために,まずマクロな液面と接する気相プラズマの状態を正しく把握する必要があると考え,液体面が気相と接する気相放電が容易に得られる方法を探索するとともに,その放電における気相化学種を実験的,または計算によって同定し,その反応機構について考察した.具体的には,COMSOL Multiphysicsを用いた計算によって,放電を容易に起こさせるために添加されるArの準安定原子によるH_2Oの解離過程の効果について調べた.Arの準安定原子によるH_2Oの解離過程の有無を計算上で模擬することにより,その有無が生成物の時間変化に及ぼす影響を調べたところ,酸化等の化学反応過程に関与するOHラジカルの濃度が異なることがわかった.この効果のAr濃度依存性を調べたところ,30%以上のAr濃度においてOHラジカルの濃度を増やす働きがあることがわかった.また,90%のAr濃度では,約半分のOHが準安定Ar原子によるH_2Oの解離によって生成されていることがわかった.また,これらの変動とともに,H_2O_2, HO_2, O等の酸化に関連する化学種の密度も増えることがわかった.
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