2010 Fiscal Year Annual Research Report
スプライトに類似した実験室内放電における分枝形成機構の解明
Project/Area Number |
21540518
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 栄一 独立行政法人産業技術総合研究所, 新燃料自動車技術研究センター, 主任研究員 (90357369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 進 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (20356786)
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Keywords | プラズマ・核融合 / 超高層大気環境 / 原子・分子物理 / 分枝構造 / ストリーマ |
Research Abstract |
過渡放電に広くみられる分枝構造の形成機構を理解するために、雷放電伴い上層大気に形成されるスプライト放電に着目し、その正負ストリーマを併せ持つ構造の形成機構を明らかにすることを目的とする。本年度は、前年度に確立したレーザー照射による予備電離法に基づき、分枝が受ける影響について調べた。レーザー予備電離法ではガス中に極めてわずかに含まれる不純物を紫外レーザーの2光子イオン化により電離し、時間的空間的に限定された領域の電離度を変化させることができる。電離度に関してこの手法ではレーザー強度を変化させることで制御が可能であり、予めイオン電流をレーザー照射強度に対して計測することで校正を行った。針対平板電極の間にそのレーザーを照射して、特に顕著な分枝が観測されるアルゴンガスのストリーマ放電に対してその影響を調べた。その結果、レーザー照射によって背景電子密度が5×10^5/cm^3以上を形成した場合、分枝が抑制される結果を得た。また、その抑制される領域はレーザー照射領域に限定されることもわかった。この結果は正負ストリーマの双方に見られた。上層大気におけるスプライトにおいても背景大気が電離されていることに加え、ストリーマの分枝機構に関してはストリーマ先端の曲率や確率的な電子なだれの融合など様々なモデルが提案されるなかで、今回の分枝が背景電離度に強く依存する結果が得られたことは、次年度のモデル構築において有用な情報を与えると期待される。
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