2011 Fiscal Year Annual Research Report
スプライトに類似した実験室内放電における分枝形成機構の解明
Project/Area Number |
21540518
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 栄一 独立行政法人産業技術総合研究所, 新燃料自動車技術研究センター, 主任研究員 (90357369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 進 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (20356786)
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Keywords | プラズマ・核融合 / 超高層大気環境 / 原子・分子物理 / 分枝構造 / ストリーマ |
Research Abstract |
過渡放電に広くみられる分枝構造の形成機構を理解するために、雷放電に伴い高層大気に形成されるスプライト放電に着目し、その正負ストリーマを併せ持つ構造の形成機構を明らかにすることを目的とする。前年度までの実験により、ストリーマの分枝形成に影響を与える予備電離密度、ならびにストリーマの伝播速度に対するVUV光吸収種混合の影響等を明らかにした。本年度は最終年度にあたり、これまでの観測結果に基づき実験室内放電における分枝形成機構に関するモデル構築を行うとともに、スプライト現象への適用を目指す。また、構築されたモデルを検証するために、実験により様々な気体、さらにその混合気体に対して分枝形成の有無を比較する実験を実施する。これまでの実験によりストリーマ放電の分枝は揺らぎを有する予備電離空間に伝搬する電離波と考えるモデルが最も有力であると考えられる。この仮説に基づき、針電極だけでは無くほぼ一様な電界分布の中に電離度の異なる領域を形成し、分枝がどのような影響を受けるか調べる実験を行った。その結果はモデルが期待するように、局所的に強い電界が無くても分枝が形成されるスプライトに近い結果が得られた。また、その揺らぎを有する予備電離空間の形成要因としては高層大気では電離層近傍であることから既に存在していると予想されるが、実験室ではプラズマから放出される紫外線、あるいは意図的に外部からレーザー照射することによって形成されると考えられる。この紫外線の影響を吸収するメタンを混合する実験を行った。対比のために同程度のイオン化ポテンシャルを有するが紫外線を吸収しないXeを混合して分枝に与える影響も調べた。その結果、分枝形成に紫外線の吸収が強い影響を与えていることを確認することができた。このモデルに基づきドリフト拡散近似のプラズマ流体シミュレーション計算コードを開発し、分枝放電の形成を再現する結果を得た。
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Research Products
(5 results)