2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奥西 みさき Tohoku University, 多元物質科学研究所, 助教 (80224161)
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Keywords | 物理化学 / 原子・分子 / 強光子場 / 角度分解光電子分光 / 再散乱電子 |
Research Abstract |
本年度は、強レーザー場中での2原子分子(特にN_2およびO_2分子)の再散乱電子の2次元電子運動量分布スペクトルを測定し、理論計算やモデル計算と比較することでスペクトルに分子構造に関する情報那含まれていることを確かめた。O_2分子では光子場強度が7x10^<13>W/cm^2付近の時、後方散乱方向に強い電子強度の窪みが観測された。一方、N_2分子にはそのような明確な干渉パターンは観測されなかった。この違いは、強レーザー場中での光イオン化の確率の分子軸方向に対する依存性を考慮に入れることで説明づけることが出来る。気相分子はレーザーの偏光方向に対して様々な方向を向いており、実験結果は、様々な方向を向いた分子からの角度分解電子スペクトルの平均として与えらるものであるが、O_2分子の場合、レーザーの偏光方向と分子軸とのなす角がほぼ45度方向を向いたときにイオン化の確率が最大となり0および90度方向に近づくとイオン化確率は0に急速に収束する。従って観測される再散乱電子強度の窪みは、電子が分子軸がほぼ45度方向から再衝突し、その後、各々のO原子から散乱された電子波が相殺的干渉を起こしたために起こった現象と見なすことが出来る。一方N_2分子ではそのような特別な方向性は無く、立体角が最も大きくなる90度方向を向いた時にも強くイオン化されるので目立った干渉パターンは観測されない。更にレーザー強度を上げていくとO_2分子の場合、すぐにこの干渉による窪みは消滅すが、更に衝突運動量が3倍程度に相当する非常に強いレーザー光強度で測定をすると再び相殺的干渉による窪みが観測されるようになる。このことは比較的簡単な2重スリットモデルによる電子波の干渉で説明が出来る。
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Research Products
(8 results)