2010 Fiscal Year Annual Research Report
プロトニクスの展開:プロトン透過膜と光触媒反応への応用
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21550007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牛山 浩 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (40302814)
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Keywords | 理論化学 / プロトン移動 / 燃料電池 / 光触媒 / 電子ダイナミクス / 化学反応 |
Research Abstract |
昨年度に続き、具体的なターゲットとして、燃料電池に関しては固体酸化物型電解質と水の界面で起こるプロトン移動の反応機構の解明を目指して研究を進めた。プロトン導電膜の持つ酸性質がプロトン移動のバリアを下げることが昨年度の研究で分かったので、そのことを利用した新しい材料の提案を行った。具体的にはスルホン基を導入したり、官能基間の距離を変化させるような無機材料を提案したりして、より高いプロトン導電性を持つ新規材料を理論化学の立場から提案した。現在、実験研究者とともに新しい材料作成を行っており、高いプロトン伝導性を持つプロ論透過膜ができるのではないかと期待している。 光触媒に関しては、今年度は昨年度構築した酸化チタンの表面モデルを用いて、その光物性を明らかにしていくことを目指した。密度汎関数法を用いて、モデル酸化チタン表面の励起状態を計算し、実験事実と比較しつつ、モデルの正当性や計算手法の妥当性を検討し、作製したモデルの妥当性を検討した。次に、表面での光化学反応に関して、量子化学レベルの検討を行った。その際、特に電子分布の変化に気をつけ、反応を理解を目指した。さらには、電子動力学法を上述の表面吸着系に適応するため、多次元化に向けた理論とプログラムの開発へと研究を展開している。現時点で電子ダイナミクスを実行できる分子はその大きさが限られてしまうことと、多くの計算時間が必要なために長時間の時間発展が行いにくいという点を克服する必要があったため、我々は電子波動関数の時間発展を行う際に必要になる波動関数を展開する電子配置関数を最低限必要な数に限定し、電子波動関数の核座標微分を数値微分に置き換えることで、計算手法の大規模系の長時間時間発展へ研究を展開したいと考え、プログラムの作成を行っている。来年度は、具体的な問題として最初にH2D+系へ適応して量子計算と比較し、計算精度やプログラムのチェックをしつつ、電子移動と化学反応の取り扱いについて検討したいと考えている。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Redox-responsive molecular helices with highly condensed II-clouds2011
Author(s)
Eisuke Ohta, Hiroyasu Sato, Shinji Ando, Atsuko Kosaka, Takanori Fukushima, Daisuke Hashizume, Mikio Yamasaki, Kimiko Hasegawa, Azusa Muraoka, Hiroshi Ushivama, Koichi Yamashita, Takuzo
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Journal Title
Nature Chemistry
Volume: 3
Pages: 68-73
Peer Reviewed
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