2011 Fiscal Year Annual Research Report
プロトニクスの展開:プロトン透過膜と光触媒反応への応用
Project/Area Number |
21550007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牛山 浩 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (40302814)
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Keywords | 理論化学 / プロトン移動 / 燃料電池 / プロトン透過膜 |
Research Abstract |
本研究課題では、第|原理動力学法や電子ダイナミクスの方法論の開発と、そうした方法を化学反応に応用する研究を行ってきた。特に我々はプロトン移動反応に焦点を当て、ゆっくりとした周り原子の運動や早い電子の運動が、プロトン移動反応に及ぼす影響について研究を進めてきた。特に、上述の研究を基礎として、エレクトロニクスの次世代技術として期待されるプロトン工学(プロトニクス)への展開を目指し、基礎科学・工学的応用双方の面で注目されている燃料電池で用いられるプロトン透過膜におけるプロトン移動ダイナミクスの反応機構の解明をおこなった。その結果、強固な水素結合ネットワークがプロトンの移動度に大きく影響を及ぼすことを示し、具体的に置換基を導入することで効率アップが期待されることを提案した。また、電極触媒表面での反応機構の解明を目指して理論的側面から研究も進めた。具体的な材料として、窒化タンタルを取り上げ、表面酸化や表面欠陥の存在による触媒能力の違いや、物性の違いを詳しく調べた。その結果、表面の欠陥が反応を促進させることを明らかにした。さらには、現在利用されているプラチナとの比較を行うことにより、こうした不純物の存在を巧みに利用した新しい材料の提案を行った。こうした研究は、化学反応の基礎的な研究として重要なだけでなく、具体的な応用への橋渡しをしたものと位置づけられる。今後は、こうした研究を基礎に、マテリアルデザインという展開へとつながっていくものと信じている。
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[Journal Article] Redox-responsive molecular helices with highly condensed -clouds2011
Author(s)
Eisuke Ohta, Hiroyasu Sato, Shinji Ando, Atsuko Kosaka, Takanori Fukushima, Daisuke Hashizume, Mikio Yamasaki, Kimiko Hasegawa, Azusa Muraoka, Hiroshi Ushiyama, Koichi Yamashita, Takuzo Aida
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Journal Title
Nature Chemistry
Volume: 3
Pages: 68-73
DOI
Peer Reviewed
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