Research Abstract |
本研究では,タンパク質の疎水性水和についての基本的な情報を得るために,アミド化合物,アミノ酸の誘導体,アミノ酸の側鎖などの,極性基をふくむ炭化水素部分について, 1)テラヘルツ領域の振動分光法によってC-H…OH_2形成を検出する. 2)赤外法によるν(O-H)とν(H-O-H),さらにν(C-H)の測定をする.その一方で,MO法,DFT法による溶質の水和クラスターの構造最適化により,C-H…OH_2形成の情報を得る. 3)ONIOM法,QM-MD法などによって,集合体のシミュレーションより情報を得る, ことを目的にしてきた.このうちで,21年度は2)の内容についてかなりの成果を得た.すなわち,あたらしくウォータージャケット式のセルとその循環水の温度制御装置を購入できたことで,アルコール/水,アミド/水系について実験結果を得た.特に,ν(H-O-H)の測定法を新たに工夫して精度よくスペクトルを測定し,2回微分する方法を確立した結果,アルキルアルコールと対応するフッ素置換アルコールで,ν(H-O-H)の変化がブルーシフトとレッドシフトすなわち逆であることがわかった.⊿H^>0であることと関連付けると,疎水性水和と⊿(H-O-H)のブルーシフトが関係あることになる.この問題をさらに追及する. 1)のテラヘルツ領域の振動分光法のためのセルの準備などが整い,予備測定までにこぎつけた. MO法,DFT法,ONIOM法による計算用アプリケーションソフトであるGaussian 09と,Gaussview5.0へのバージョンアップを遂行できた.ハードウエアについても新規にPCを購入した.また京大のセンターの利用も始めたことで格段に計算能力が向上した.このうちで,ONIOM法について実際にテトラヒドロフラン/水について計算をしたが,期待した結果が得られなかった.どのように展開するかを考え直したい
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