2010 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子蛍光分光法による孤立電荷移動錯体及び電荷移動錯体ナノ結晶の研究
Project/Area Number |
21550012
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
板谷 明 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (80035071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増尾 貞弘 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (80379073)
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Keywords | 1分子計測(SMD) / 共焦点顕微鏡 / ナノ材料 |
Research Abstract |
ホスト高分子として無極性のものが望ましく、ポリスチレンを目指した。スチレンを最終的には真空蒸留により高純度に精製し、脱気封管後、熱重合した。得られたポリスチレンは使用可能なものであった。 ホスト高分子として3種のメタクリレート系高分子を用いて、Cz化合物とTCNB系の、孤立した単一CT錯体の蛍光を単一分子蛍光分光法により、その蛍光強度・蛍光寿命の経時変化を測定し解析した。どの高分子中でも3種のパターンが観測されたが、ホスト高分子によりそのパターンの出現する割合が変化した。また、ホスト高分子のガラス転移温度が小さく自由体積が大きい程、測定中にCT蛍光はOff-stateを示し易いことなどが分かった。従って、Off-stateは、CT錯体が高分子の空隙内でより多くの電子受容体(A)と電子供与体(D)相対配置をとり、錯体の一時的な解離、または無蛍光性のCT錯体の相対配置を生成したことによると考えられることが分かった。今後、無極性ポリスチレンを用いて研究を進める。 CT錯体ナノ結晶の蛍光挙動は3種に大別できること、またその挙動は大きなサイズの結晶のそれと異なることを報告した。Cz化合物とTCNBの濃度比を変えるなどして検討したが、その説明に苦慮していた。最近、励起光により結晶がダメージを受け、その受け方が結晶のサイズに依存するとして説明が可能であると思われ、その証明を他のCT錯体系に系を広げ、検討を進めている。 昨年度、Cz系でのエキシプレックス蛍光の観測は、励起波長や検知器の観測可能波長範囲の問題から困難であると結論した。本年度、デュレンとジシアノアントラセン系のエキシプレックス蛍光の観測に成功した。これは、基底状態で相互作用の無い2つの分子を単一分子蛍光分光法で観測できた最初の例と思われる。個々のエキシプレックス蛍光の寿命は、CT錯体蛍光系と比べ分布の幅が広く、エキシプレックスのAとD問の相対的な構造は、CT錯体のそれに比べ、よりルーズであることが分かった。
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Research Products
(2 results)