2009 Fiscal Year Annual Research Report
反応における分子の再配向に関する反応機構の解明と反応分岐に及ぼす分子配向依存性
Project/Area Number |
21550013
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
蔡 徳七 Osaka University, 大学院・理学研究科, 助教 (20273732)
|
Keywords | 配向分子線 / 反応分岐 / OHラジカル / 分子の電子密度 / 分子のアライメント状態選別 / 反応制御 / 立体効果の直接観測 / 反応遷移状態 |
Research Abstract |
反応遷移状態における化学種の構造や内部状態分布は反応生成物の反応分岐に大きな影響を及ぼすことが考えられる。我々は反応に関与する反応物の配向状態を規定して反応を開始させることで、遷移状態における衝突錯剛体の構造を規定し、生成物の反応分岐の発現機構について解明することを目的で研究を行った。六極電場を用いてOHラジカルの単一量子状態を選別し配向電場により分子の配向状態を選別した。HBrとの反応により生成したBr原子を真空紫外光によるLIF法で検出した。結果からO端からの反応が反応性に富むことを明らかにした。詳細な結果の解析から反応はO端で最も活性であるがH端でも反応性に富むことが分かった。これは反応の遷移状態において安定な構造が2種類あることを示唆している。一方で、理論計算から反応の遷移状態においてはOHとHBrが直線構造あるいは二つの分子がT字の構造をもつものが安定であることが明らかになった。今回得られた実験結果はこの理論計算の結果を支持するものである。これらの結果をさらに検証するために偏向レーザーによるHBr分子のアライメント状態の選別を試みることにした。理論計算からすでに20mJのレーザー光で分子のアライメント状態が選別可能であることを確認した。現在実験を行っている。反応に関与する両方の分子の配向状態を選別することで反応機構を詳細に明らかにできることがわかった。
|