2011 Fiscal Year Annual Research Report
高分子結晶ケージに収容された低分子の運動性に関する中性子散乱法による研究
Project/Area Number |
21550015
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金子 文俊 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70214468)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 健二 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (30038020)
川口 辰也 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10314353)
|
Keywords | 中性子小角散乱 / シンジオタクチックポリスチレン / ゲスト交換 / 共結晶 / 小角・広角同時測定 / 放射光実験 / 高次構造 |
Research Abstract |
ミュンヘン工科大学に設置されているユーリッヒ中性子科学研究センターの中性子小角散乱装置KWS-1およびKWS-2を利用して、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)の共結晶が示すゲスト交換過程を追跡した。今回は気相から供給してゲスト交換を行うことができる比較的小さな化合物について中性子小角散乱実験を行い、ゲスト交換が確かに結晶領域において進行することを確認し、同時に結晶領域におけるゲスト分子の拡散性の評価をおこなった。この評価を行うために、全水素化分子と全重水素化分子とのゲスト交換では結晶領域の散乱長密度が著しく変化することを利用して、結晶領域ラメラに由来する中性子小角散乱強度の経時変化を測定した。得られた散乱強度の経時変化データを、結晶領域における低分子を振る舞いを一次元拡散モデルで近似して解析した。その結果、結晶領域におけるゲスト交換の時の拡散係数は非晶領域の拡散係数よりも7桁程度も小さな値を示すこと、またゲスト分子の分子容が増大するに従ってゲスト分子の拡散性が著しく低下することを明らかにした。 分子量が大きい化合物の場合には、液相からゲスト交換を行うことが必要である。このような比較的大きな化合物が示すゲスト交換過程における構造変化を、高エネルギー加速器機構放射光施設(つくば)を利用して、時間分解X線小角・広角散乱同時測定により追跡した。その結果、結晶領域におけるゲスト交換は、結晶ラメラの周期が拡大する高次構造の変化を伴うこと、そしてこの構造変化はある一定の潜伏期間を経たのちに開始されることが明きからになった。嵩高い分子のゲスト交換は、添加剤を混合すると、しばしば著しい促進効果が得られる。この添加剤効果についても調べ、添加剤により潜伏期が著しく短縮されることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|