2010 Fiscal Year Annual Research Report
定量位相顕微鏡による石鹸薄膜中における非平衡模様の生成と成長の研究
Project/Area Number |
21550023
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
藤原 久志 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (40264949)
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Keywords | 石鹸膜 / 定量位相顕微鏡 / 超薄膜 / 非平衡 |
Research Abstract |
本研究では非平衡条件下にある石鹸薄膜中に生じる模様生成および成長機構の解明を目指し、平成22年度は主として観測装置(定量位相-反射干渉顕微鏡観測システム)の改良とデータ取得・解析を並行して行った。 観測装置の改良では、633nm光による定量位相顕微鏡画像(干渉縞画像)と405nm光による反射干渉顕微鏡画像を明確に分離・記録するために、ダイクロイックミラーとバンドパスフィルターを含む光学系を新規導入した。この改良装置で石鹸薄膜の同時観測画像を取得・記録・解析した。まず反射干渉画像の二光束干渉近似による解析により、きわめて薄くなった石鹸膜(厚み100nm以下)で、これまでの研究(たとえばA.A.Sonin and D.Langevin, 1993, Europhys.Lett.Vbl.22, pp271-277)でも知られている「段階的薄膜化(stratification)」が確認できた。一方、定量位相顕微鏡画像(干渉縞画像)の解析では、この段階的薄膜化を検出できなかった。これは石鹸膜で生じている階段状の厚み変化(一段10-20nm程度)で生じる干渉縞変位がきわめて微小なためと考えられる。この極微小な変位の検出には干渉縞画像画質の大幅な向上が必要と考え、現在コヒーレントノイズの除去(スーパールミネッセントダイオードなどの低コヒーレンス光源の導入)に取り組んでいる。さらに、干渉縞画像の撮影用に画素大きさが小さいCCDカメラを選択し、空間サンプリング周波数を向上させることも検討中である。以上に加えて、石鹸膜形成液の基礎的な物性(屈折率、表面張力など)測定の環境整備も進めた。
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