2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550026
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Research Institution | 大阪大谷大学 |
Principal Investigator |
谷本 能文 大阪大谷大学, 薬学部, 教授 (10110743)
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Keywords | 磁場効果 / 磁気科学 / 不均一反応 / 電極反応 / 塩水振動子 / フェロシアン化銅 |
Research Abstract |
最近、磁気科学が注目を集めている。しかしながら、不均一化学反応に関しては、ほとんど研究されておらず、今後重点的に研究をすすめる必要がある。本研究では、代表的な不均一系化学反応について、最大15T、1500T^2/mの磁場がどのような影響を与えるか、速度論的研究等を通して解明することが目的である。 本年度は、(1)亜鉛の電極析出反応、(2)塩水振動子、(3)有機光化学反応、(4)フェロシアン化銅半透膜生成反応について研究を行った。(1)では、電流を印加すると電圧の振動が起こるが、磁場の印加により振動周期が長くなり、0.47Tの磁場により振動が止まることが分かった。磁場中その場観察の結果から、この磁場効果は溶液中のイオンに対するローレンツ力による対流によることが明らかとなった。(2)では、15T、±1500T^2/mの垂直強磁場の印加により、振動周期が早くあるいは遅くなることが分かった。磁場のない時振動は2つの溶液に働く重力の差により引き起こされる。一方磁場中では、重力に加えて磁気力が作用し、その2つの力により振動が起こることが解明された。(3)では、アントラキノン光増感反応等で顕著な磁場効果が観測され、ラジカル対機構により説明された。(4)では、磁場中その場観察から、ガラス繊維円筒濾紙の周りにフェロシアン化銅半透膜が生成する際に溶液にローレンツ力による対流が起こることが確かめられた。磁場中で作成した膜を用いて、D-,L-酒石酸の分離を試みたが、今のところ分離できていない。 以上のように、不均一系化学反応の新しい磁場効果を探索し、それらが磁気力やローレンツ力によることを確立した。すなわち、不均一な磁化率をもつ溶液では磁気力による磁場効果が、イオンの移動を伴う反応ではローレンツ力による磁場効果が観られることが解明された。
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