2009 Fiscal Year Annual Research Report
高圧下における臭素とヨウ素の分子相内構造相転移の探索
Project/Area Number |
21550029
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
竹村 謙一 National Institute for Materials Science, ナノスケール物質萌芽ラボ, 主席研究員 (20171671)
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Keywords | 分子性結晶 / 構造相転移 / 圧力誘起分子解離 / ダイヤモンドアンビルセル / 高圧X線回折 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高圧下で固体臭素とヨウ素の精密粉末X線回折実験を行って、分子相内に構造相転移が存在するのか否かを明らかにすることである。過去のX線回折実験では分子相内構造相転移は見つかっていないことから、相転移があるとしてもそれにともなうX線回折パターンの変化はごくわずかであることが予想される。研究の成否は、融点が低く蒸気圧が高い臭素とヨウ素から、高分解能で信頼性の高い回折強度の粉末X線回折パターンを得ることができるかどうかにかかっている。今年度は、この目標のために、試料準備に必要な実験装置の導入と整備を行った。良質な粉末X線回折パターンを得るには、粒径数ミクロン以下の粉末試料を作成し、ダイヤモンドアンビルセルに封入する必要がある。そこで低融点で腐食性が高い臭素とヨウ素を扱うために、専用のグローブボックスを導入した。グローブボックスは真空排気型のアクリル製のものとした。この中に臭素とヨウ素の試料を冷却・固化させて粉末化するための液体窒素冷却槽を設置した。グローブボックス内にはさらにダイヤモンドアンビルセルに試料を封入するためのカメラ付き顕微鏡と加圧治具を取り付けた。そして、低温のままヘリウムガス圧力媒体を封入するための密閉型ダイヤモンドアンビルセルを設計・製作した。これらの装置は平成21年度末までに納入を完了し、現在立ち上げを行っている。平成22年度はこれらの装置を使って臭素のサンプリングを開始し、高圧粉末X線回折実験を行ってデータを採取する予定である。
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