2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550032
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
生沼 みどり University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (20323256)
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Keywords | 金属内包フラーレン / Diels-Alder反応 / 可逆付加反応 / 化学修飾 |
Research Abstract |
本研究では、特異な構造と物性を有し、ナノカーボン新炭素素材として期待される金属内包フラーレンの新規化学修飾法を開発し、分子変換による機能の発現を目指す。機能性フラーレンの分子デザインには、化学修飾反応の付加位置をコントロールする必要がある。そこで金属内包フラーレンの可逆反応に着目する。この可逆反応を利用してフラーレンの活性部位を保護することで置換基導入の付加位置を制御し、新たな金属内包フラーレン誘導体の創製を行う。 1.金属内包フラーレンの合成と分離精製 原料であるL即L@C_<82>、La_2@C_<80>をアーク放電法により合成し、多段階高速液体クロマトグラフ(HPLC)法により分離精製を行なった。 2.位置選択的Diels-Alder可逆付加反応系の構築 申請者らのグループでは、既にLa@C_<82>とシクロペンタジエンとの位置選択的Diels-Alder環化付加反応に成功していたが、逆反応が容易に進行してしまうという問題点があった。そこで、数種の置換シクロペンタジエンを用いたLa@C_<82>との反応について詳細な反応速度論的な検討を行なった。その結果、立体的嵩高さと高いHOMO準位を考慮したメチルシクロペンタジエンを用いることで、逆反応の速度を抑えられることが分かった。Diels-Alder可逆付加反応がLa@C_<82>への官能基修飾反応の保護・脱保護として有用となる系を確立できた。 La@C_<82>は常磁性であるため反応性の解析に核磁気共鳴(NMR)が使えないので、反応速度論の検討は、HPLC分析および電子スピン共鳴(ESR)測定によって行った。付加位置の決定は、理論計算による考察、各種スペクトルおよびX線構造解析により行なった。
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