2009 Fiscal Year Annual Research Report
単離可能なヒドリド-カルコゲノラト白金錯体とアルキン類との反応の機構解明
Project/Area Number |
21550035
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
石井 昭彦 Saitama University, 理工学研究科, 教授 (90193242)
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Keywords | 合成化学 / 白金 / カルコゲン元素 / アルキン / ヒドリド |
Research Abstract |
1.新たな(ヒドリド)(セレノラト)白金(II)錯体として,セレン上の置換基がt-ブチル基の[PtH(Se-t-Bu)(PPh_3)_2],リン配位子が亜リン酸トリフェニルの[PtH(SeTrip){P(OPh)_3}_2]を合成した。 2.[PtH(Se-t-Bu)PPh_3)_2]とアセチレンジカルボン酸ジメチルあるいはプロピオール酸メチルとの反応では,低収率ながらヒドロセレネーション付加体が生成したが立体選択性はなかった。このヒドリド錯体の熱反応を検討したところ,セレノラト配位子で架橋された新規なジヒドリド白金二核錯体およびヒドリド白金二核錯体,[Pt_2H_2(m-Se-t-Bu)_2(PPh_3)_2]および[Pt_2H(Se-t-Bu)(m-Se-t-Bu)_2(PPh_3)_2],が生成することを見出した。 3.[PtH(SeTrip){P(OPh)_3}_2]とアセチレンジカルボン酸ジメチルとの反応では,高収率でヒドロセレンーション付加体が生成したが立体選択性はなく,錯体の還元的脱離により生成したセレノールとアセチレンジカルボン酸ジメチルの反応が優先して起こっていることがわかった。フェニルアセチレンとの反応では,錯体の分子内環化によりセレナプラチナサイクルが得られた。この反応に亜リン酸トリフェニルを添加して行うと,異常反応が起こり,亜リン酸トリフェニル配位子の一つから一つのフェニル基が脱離し,そのP原子とO原子およびフェニルアセチレンを取り込んだ五員環オキサホスファプラチナサイクルが生成することを見出した。この反応でも還元的脱離により生成したセレノールと亜リン酸トリフェニルの反応が始めに起こったものと考えられる。
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Research Products
(4 results)