2010 Fiscal Year Annual Research Report
単離可能なヒドリド-カルコゲノラト白金錯体とアルキン類との反応の機構解明
Project/Area Number |
21550035
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
石井 昭彦 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (90193242)
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Keywords | 合成化学 / 白金 / カルコゲン元素 / アルキン / ヒドリド |
Research Abstract |
2つのヒドリド錯体,すなわちリン配位子としてトリフェニルホスファイトを有する[PtH(SeTrip){P(OPh)_3}_2](1)(9-トリプチシル基)及び新たに合成した,セレン上の置換基として嵩高い2,4,6-トリ-t-ブチルフェニル基(Mes*基)をもっ[PtH(SeMes*)(PPh_3)](2)のアルキン類との反応並びに熱反応について検討した。 ヒドリド錯体1とフェニルアセチレンとを加熱するとフェニルアセチレンは回収され,Trip基への分子内環化反応が促進され,対応するセレナプラチナサイクルが生成した。この結果と昨年度に得られた結果(P(OPh)_3とフェニルアセチレンを加えて反応させると分子内環化体に加えてリン配位子からのPh基の脱離とフェニルアセチレンの取り込みが起こった五員環オキサホスファプラチナサイクルが生成する)は中間体としての18電子5配位錯体の生成を示唆し,反応機構に関する重要な知見が得られた。 また,ヒドリド錯体2とジメチルアセチレンジカルボン酸との反応では,目的のヒドロセレン化付加体が生成したがE-Z立体選択性は現れなかった。この反応では,1の場合とは対照的に16電子5配位中間体を経由していることが示唆された。 このように,これまで単純に考えられていたヒドリド錯体のPt-Se結合ヘアルキンが挿入する反応機構ではなく,白金の5配位中間体,しかも基質によって配位様式の異なる高配位中間体を経る反応機構の可能性が示された。
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Research Products
(3 results)