2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550047
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
塚田 秀行 Yokohama City University, 生命ナノシステム科学研究科, 教授 (40171970)
|
Keywords | 有機化学 / 有機磁性 / スピン / 酸化還元 / 共役系 |
Research Abstract |
本研究は,側鎖にラジカルを配したπ共役系電導体において、伝導電子とラジカル間の相互作用を介してスピン整列を行いその結果強磁性を発現する機構を提案し、そのためのモデル化合物を創製することにある。第2は、こうしてできたπ共役系電導体スピン種が、電子注入のON/OFFに対応して強磁性を発現する応答性有機磁性体になることを実証することである。 まず,チエノチオフェン,縮合多環系などを共役系母体とした系,ヒドロキノンやキノン系について,DFT計算を行い,イオンラジカルのスピン分布およびジラジカルを含んだ系のスピン多重度ごとのエネルギー計算を行った。1電子酸化還元することが容易でかつ酸化還元電位がラジカル部分より小きくかつスピン分布が大きな位置にペンダントスピンを挿入できるような系がいくつか見つかった。 合成に関しては,酸化還元可能な共役系としてヒドロキノンーキノン系を有し,側鎖に2つのニトロニルニトロキシドを持つ化合物を得ることができた。ジメトキシベンゼンを出発として,クロルメチル化,アセテートへの変換,加水分解,クロム酸酸化を経た後,保護機を導入し,アミナールとした。ニトロニルニトロキシドへの変換後,保護基をはずし,目的のヒドロキノン系ジラジカルへと導いた。しかし,収率は良好ではなく,次年度への課題が残った。本研究に即した実験装置として,電気化学的酸化還元反応を追跡する紫外分光用セルの試作も行った。
|