2011 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体標識アミノ酸、オリゴペプチドの合成および配座解析
Project/Area Number |
21550050
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
大場 真 東海大学, 開発工学部, 教授 (10246077)
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Keywords | アミノ酸 / 安定同位体標識 / 立体選択的合成 / ジペプチド / 核磁気共鳴法 / 配座解析 |
Research Abstract |
核磁気共鳴法(NMR)は蛋白質やペプチドの溶液構造を解析する手段として非常に有効であり、それらの構成成分であるアミノ酸を安定同位体で標識することによって、解析の効率を飛躍的に向上させることができる。しかし、位置・立体選択的に安定同位体で標識されたアミノ酸を入手するためには高度な有機合成技術が必要であり、その利用は大きく制限されているのが現状である。 既に本研究では種々の立体選択的重水素標識アミノ酸の共通合成中間体である不飽和ピログルタミノール誘導体の新規合成法を開発しており、従来法と比較して各反応のスケールアップが容易であることから各種重水素標識アミノ酸の大量合成が可能である。本年度は位置・立体選択的重水素標識プロリンをグラムスケールで合成することに成功し、標識プロリンを含有するジペプチドの合成および配座解析を行った。 唯一の環状アミノ酸であるプロリンは特異な配座特性を持つことがらペプチド主鎖の立体構造に大きな影響を与える重要な残基であり、Xaa-Pro結合のシス-トランス異性化やプロリン環パッカリングの動的過程をNMRでモニターすることができれば、ペプチドや蛋白質の溶液構造に関する基本的な情報を入手することが可能となる。本研究で合成した重水素標識プロリンは、シグナルの立体特異的帰属を容易にするのみならず、NMRを用いてプロリン環パッカリングをモニターする上で都合のよい標識パターンを持っており、αおよびδ位のプロトンのビシナル結合定数(J値)を測定することによって配座異性体(UP、DOWN)の存在確率を見積もることができる。本手法は、複雑なパルステクニックや多次元NMRを用いること無く、単純な1DNMRで構造情報を取得できることから、動的NMR解析への応用も期待できる。
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Research Products
(5 results)