2010 Fiscal Year Annual Research Report
可溶性ポリマー担持試薬を用いる環境調和型新規合成反応の開発
Project/Area Number |
21550051
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
松本 一嗣 明星大学, 理工学部, 准教授 (90260215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町並 智也 明星大学, 理工学部, 教授 (50247160)
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Keywords | ポリマー / 可溶性試薬 / 環境調和型反応 |
Research Abstract |
本研究では、反応試薬を可溶性ポリマーに担持させ、回収・再使用容易な環境調和型反応を開発するのが目的である。昨年度までに試薬の合成法を確立することができたので、合成試薬を用いて反応を試みることを目指した。ターゲットとしては、(1)TEMPOを酸化剤とした酸化反応の検討、(2)可溶性担持ポリマーを基質とした酵素加水分解、および、(3)可溶性ポリマー担持試薬によるアルコールの捕捉反応である。 まず、TEMPOを酸化剤として、コハク酸をスペーサーとしてエステル結合により担持したものと、クリック反応によりトリアジン環をリンカーとして担持したものを用いてアルコールの酸化反応を試みた。その結果、塩化メチレン或いはBTFを溶媒として、オキソンを再酸化剤とした反応により、第一・二級アルコールを効率的に酸化することに成功した。また、使用した酸化剤は容易に再利用することができた。 次に、ラセミの第二級アルコールを、コハク酸をスペーサーとしてエステル結合させてPEGと結合した化合物を基質とし、酵素加水分解を行った。その結果、このような化合物は多くのリパーゼにより加水分解された。そして、Novozyme435を用いると、高エナンチオ選択性で反応が進行し、光学活性体が得られることがわかった。また、スペーサーの構造が反応性、エナンチオ選択性に大きな影響を与えることを明らかにした。 通常アセチル体を酵素的光学分割した際、生成物の分離操作に手間や多くの有機溶媒が必要になる。そこで、酵素反応後の生成混合物に対し、カルボキシル基を導入したPEG誘導体を用いてアルコールだけをあらかじめ回収分離する手法の構築を試みた。その結果、通常のエステル化の条件においてPEG誘導体がアルコールを立体保持で捕捉し、生成物の分離が可能であることを見いだした。また、光延反応の条件下で反応を行うと、立体反転で捕捉することもできた。
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Research Products
(8 results)