2010 Fiscal Year Annual Research Report
還元的脱離の促進を鍵とする炭素-テルル結合のアルキン類への触媒的付加反応の開発
Project/Area Number |
21550053
|
Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
藤原 眞一 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (60219061)
|
Keywords | 有機化学 / カーボテルロ化 / 遷移金属触媒 / 還元的脱離 / アルキン / ラクタム / テルル / 脱一酸化炭素 |
Research Abstract |
遷移金属触媒を用いて炭素-ヘテロ元素結合を切断し、これらをアルキンなどの不飽和炭化水素に付加させる反応は、ヘテロ官能基の導入と炭素鎖の伸張を同時に達成することができることから合成化学的に優れた手法の一つである。ヘテロ元素として第16族の硫黄やセレンを用いた高効率の付加反応も可能である。しかしながらテルルに関しては報告例はほとんどない。これはテルル原子化合物の酸化的付加能が極めて高く、生成物あるいは反応中間体からの副反応の制御が困難であることが一つの要因と考えられる。本研究では、Pd(PPh_3)_4触媒量存在下、窒素上にアルキニル基を有するテルロカーバメートをトルエン中で加熱還流すると、カルバモイル炭素-テルル結合の分子内アルキン部位への付加を経て、対応するα-アルキリデンラクタムが高収率、高選択的に得られることを見出した。本反応の反応性は生成する環の大きさに大きく依存しており、四員環から六員環に環サイズが大きくなるにつれて収率は向上する。平成22年度は不飽和炭化水素としてアレンを用いて反応を検討した。窒素上にアレニルアルキル基を有するテルロカーバメートをパラジウム触媒で処理すると、アルキンの場合と同様に触媒反応が効率良く進行し対応するラクタム類が得られた。興味深いことに窒素上に直接アレン部位が結合した基質を用いて反応を行うと、環化反応はまったく進行せず、代わりに一酸化炭素の脱離を伴った異性化反応が進行することも新しく見いだした。
|