2011 Fiscal Year Annual Research Report
還元的脱離の促進を鍵とする炭素-テルル結合のアルキン類への触媒的付加反応の開発
Project/Area Number |
21550053
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
藤原 眞一 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (60219061)
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Keywords | アリルテルリド / ニッケル触媒 / ホスフィン配位子 / 炭素-テルル結合 / アリルテルロ化 / [2+3]付加環化 / シクロペンチルテルリド / 分子間反応 |
Research Abstract |
遷移金属触媒を用いた炭素-ヘテロ元素結合の不飽和結合への付加反応は、新たな炭素-炭素結合の形成とヘテロ元素官能基の導入を位置及び立体選択的に一度に達成できるため、合成化学的に優れた手法の一つであるが、ヘテロ元素としてテルルを用いた反応例はなかった。 過去2年間の研究により、テルロカーバメートのカルボニル炭素-テルル結合が分子内のアルキン部位に効率的に付加する触媒反応系を開発したが、分子間反応への応用には成功していなかった。 本年度、アリルテルリドとアルキン類との分子間反応を検討したところ、パラジウムやロジウム触媒を用いた場合には反応は全く進行しなかったが、ニッケル触媒を用いた場合、配位子を選択することにより2種類の生成物を作り分けできることを見いだした。たとえば、アリルテルリドとアリールアセチレンの反応をNi(cOD)_2を触媒として行うと3割程度の収率でアリルテルロ化生成物が得られた。配位子としてDPEphosを加えて反応を行うと収率は70%に向上した。一方、配位子としてdpppenを用いた場合、興味深いことにアリルテルリドとアリールアセチレンの[2+3]付加環化生成物であるシクロペンチルテルリドが70%の収率で生成した。 本反応系は炭素-テルル結合を分子間での不飽和結合へ付加させることに成功した最初の例であるとともに、類似の反応はテルルと同族の硫黄やセレンを用いた場合にはまったく進行しないことから、新たなテルルの反応特性を見いだした研究といえる。
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