2011 Fiscal Year Annual Research Report
チューブ状チャンネルに固有な機能発現を目的とした配位高分子の合成
Project/Area Number |
21550059
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
近藤 満 静岡大学, 機器分析センター, 准教授 (80254142)
|
Keywords | チューブ状チャンネル / 多孔性固体 / 水素結合ネットワーク / 外部刺激応答型構造 / 二酸化炭素吸着 / ニッケル錯体 / 温度応答 / 小分子吸着 |
Research Abstract |
チューブ状チャンネルをもつ化合物として、新たに[Co(dps)2(NO3)2]EtOH(dps=4,4'-dipyridylsulfide)の誘導体の合成を検討した。このコバルト錯体は、昨年度までに合成したニッケル錯体と同様の構造を持つ化合物であるが、ニッケル錯体の場合と異なり、温度に依存した2段階の構造相転移を起こすことが明らかとなった。その相転移の様子を示差操作熱量分析、及び低温における構造解析で追跡した結果、ニッケル錯体で見られた一次元鎖のスライドとは異なり、コバルト錯体では、全く異なる配列パターンを介したより複雑な転移を起こすことが分かった。これは配位結合で連結されたMetal-Organic-Framework (MOF)において、2段階の構造相転移を示した最初の例である。 また、水素結合を介するチューブ骨格を形成した化合物として、昨年度までに見いだしたニッケル錯体[Ni(ima)2(MeOH)2]2MeOH(ima=4-imidazoleacetate)に加えて、新たに{[Co(OH2)6][(ccdc)3]}(ccdc=cobaltocene-1,1'-dicarboxylate)を合成することに成功したが、今年度はさらに、酸化還元活性なコバルトセンユニットを用いて、チューブ骨格を形成することに成功した。この化合物は、コバルトセンユニットが一次元状に積層した構造を形成しており、これらの一次元鎖が六角形状に配置することでチューブ状のチャンネルを形成している。ccdcユニットのカルボン酸は結晶学的に120度ずつ螺旋型に回転しており、チューブ状空間に取り込まれた[Co(OH2)6]ユニットの水と水素結合を形成している。また、固体状態におけるサイクリックボルタモグラムの測定から、この化合物は高い酸化還元活性を持つことが分かった。
|