2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550071
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
高橋 正 Toho University, 理学部, 教授 (30171523)
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Keywords | Z型配位子 / 金属→配位子逆供与 / ^<197>Auメスバウアー分光法 / ホスファニルボラン / ホウ素配位子 |
Research Abstract |
最近ホウ素原子を配位原子に含むルイス酸性の配位子(Z型配位子)をもつ金属錯体において,M→Z相互作用が存在することがX線構造解析とDFT計算から明らかにされてきている.より直接的な電子状態の情報を得るために,^<197>Auや^<193>Irメスバウアー分光法を適用して,M→Z相互作用を検証する研究を行なうことを目的として研究を進めた。 既に行ったAu→B相互作用をもつ平面4配位Au(I)錯体の電子状態の比較検討のための平面4配位錯体を期待してAu(I)-オクタエチルポルフィリン錯体の合成を検討した。しかしAu(I)が直線構造を好むため,辺境部に配位した2配位錯体を形成し,4配位錯体は得難いという結論に達した.並行してモノホスファニルボラン^iPr_2B(C_6H_4)PR_2(R-BPと略記:R=Cy,Ph)を配位子に用いて,Au→B相互作用をもつ3配位Au(I)錯体の合成と^<197>Auメスバウアー測定を行なった.錯体の合成は文献記載の方法によったが,配位子R-BPを文献記載の方法では得ることができず,合成条件の最適化を行なった.得られた錯体[Au(Cy-BP)Cl]では^<197>Auメスバウアーパラメータが直線2配位錯体とあまり変わらず,Au→B相互作用はそれほど大きくないことが分かった.またR-BPの新規錯体を目指してPd錯体の合成を試みたが,配位子自身の安定性が低いことと,B,P-二座配位は錯体に生成にそれほど有利でないことが示唆された.^<193>Irメスバウアー測定に関しては,線源を作成するために必要な原子炉が故障で長期間停止していたため,進展はなかった.
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