2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550071
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
高橋 正 東邦大学, 理学部, 教授 (30171523)
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Keywords | Z型配位子 / 金属→配位子逆供与 / メスバウアー分光法 / ホスファニルボラン / ホウ素配位子 |
Research Abstract |
最近ホウ素原子で代表される13族元素を配位原子に含むルイス酸点をもつ配位子(Z型配位子)の金属錯体において,M→Z相互作用が存在することがX線構造解析や密度汎関数計算から示され,新たな配位様式として注目されている.より直接的な電子状態の情報を得るために,^<197>Auや^<193>Irメスバウアー分光法を用いて,M→Z相互作用を検証することを目的に研究を進めている. 22年度はモノホスファニルボランR_2B(C_6H_4)PR'_2(R=iPr, R'=Cy, Ph ; R-B-PR'と略記)の新規錯体の合成を目指して研究を進めた.iPr-B-PPhを配位子としたときには,Au(I)錯体を得ることができず,この配位子ではリン原子の塩基性が低いためにAu-Bも相互作用することができないことが示唆された.合成面ではR-B-PR'合成のキーステップであるジヨードベンゼンの選択的リチオ化が文献記載の方法では困難であったので,反応条件を種々検討した.厳密な温度制御(-110℃付近)と反応試剤の滴下速度が重要なことが分かってきたものの,満足できる合理的な方法はまだ見つかっていない.R-B-PR'は安定性が低く操作性が悪いことも研究を困難にしている.そこでホウ素原子上のアルキル基をより安定なカテコール基やグリコール基に置き換えることを検討し始めた.メスバウアー分光法に関しては,物質開発に手間取り進展がなかった.
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