2009 Fiscal Year Annual Research Report
シリカ化学種による海域と季節変動の分析および淡水への新しい分析法の開発
Project/Area Number |
21550073
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 美穂 (田中 美穂) Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋科学部, 准教授 (30236640)
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Keywords | シリカ化学種 / 環状4量体 / 直鎖4量体 / 2量体 / FAB-MS / ESI-MS |
Research Abstract |
1.海水の化学的分析-FAB-MSによるシリカの同定 東京湾、相模湾のシリカ(ケイ酸)の存在状態をあきらかにした。FAB-MSでシリカ化学種を分析すると、環状4量体cyclic tetramerと、直鎖4量体linear tetramerのピーク強度比は海水塊の性質を反映して大きな変化を生じる。分子の小さいシリカがより珪藻に摂取されやすく、cyclic tetramerよりはlinear tetramer、また2量体であるdimerが摂取されやすいので、これら3つのシリカ化学種に特に注目して測定を行った。夏季の暑い年では、東京湾よりは、相模湾の方が春から夏にかけてlinear tetramerとdimerがかなり摂取されてほとんど無いことがわかった。しかし、冷夏(2003年)では、春の時点でも、linear tetramerやdimerが消費されていないことを明らかした。 2.淡水のシリカの化学種を測定するためのESI-MSによる測定法の確立 淡水におけるシリカ化学種の同定のために、ESI-MSを用いてその測定方法を検討した。この測定方法は、イオン化を高め、コロイド状シリカの分析が可能になることが期待できる。そこで、シリカゲルを水酸化ナトリウムに溶解し、その溶存状態をFAB-MSとESI-MSによって比較した。その結果、ESI-MSでは、脱水、または水の吸着によってシリカの分子数はわかるが、分子構造式までは明らかにできないことがわかった。そこで、天然の河川であり、シリカの濃度が高い、大分県の大野川のシリカの化学状態を測定した。これまで認められなかった、8量体などの高分子のシリカも同定された。しかし、高分子のシリカの測定には、単にESI-MSで測定するだけでなく、水の脱溶媒などに対する、標準溶液の工夫が必要であると考えられる。
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Research Products
(18 results)