2011 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル増幅機能を内蔵した新規グルコースセンシングマイクロカプセルの開発
Project/Area Number |
21550074
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
遠田 浩司 富山大学, 大学院・理工学研究部(工学), 教授 (60212065)
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Keywords | バイオセンサー / オプティカル酵素センサー / 微粒子カプセル / 近赤外吸収色素 |
Research Abstract |
低侵襲的に間質組織中のグルコースをモニターするシステムの構築を目指した,シグナル増幅機能を内蔵する新規膜透過性制御型グルコースセンシングマイクロカプセルの開発のため,以下の研究を行った。 1.近赤外波長領域で明瞭なスペクトル変化をもたらす機能性色素の開発 センシングカプセルを皮膚直下に埋め込み,皮膚を介してセンシングカプセルからの光学的応答をモニターするためには,皮膚組織による光学的妨害の少ない近赤外領域に吸収波長を持つ機能性色素をセンサー情報変換素子として用いる必要が有る。そこで,酵素反応による局所的pH変化に対し,近赤外領域で明瞭なスペクトル変化を示す新規機能性色素を設計・合成した。これは,固定化部位としてのカルボキシル基,pH応答部位としてブロモフェニル部位を持つボロンピロメセン(BODIPY)系色素で750nmに最大吸収波長を有しモル吸光係数は28000cm^<-1>である。この色素は光安定性にも優れており,皮下埋め込み型オプティカルデバイス用情報変換素子として極めて有用である。 2.グルコースセンシングマイクロカプセルの構築と応答評価 メチルメタクリレートを主構成成分とする粒径50mm程度の微粒子を乳化重合法により調製し,これに固定化部位としてのアミノ残基を導入した。次に,この微粒子をカップリング試薬を含むBODIPY色素溶液と酵素溶液で処理し,酵素/色素固定化メタクリレート微粒子を構築した。更に,この微粒子をポリカチオン溶液とポリアニオン溶液に交互に浸漬することによって,5層の被覆膜を有するセンシングカプセルを構築した。構築したセンシングカプセルをフローセルに組込み,各濃度のグルコース溶液を送液しながらセンシングカプセルのスペクトル応答を測定した結果,グルコース濃度が20mg/d1~1000mg/dlの範囲で可逆的かつ迅速な応答を示すことが分かった。
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