2010 Fiscal Year Annual Research Report
イオンチャネルを介した膜透過についての新規解析法の構築
Project/Area Number |
21550079
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白井 理 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40355011)
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Keywords | イオンチャネル / イオン透過 / 脂質二分子膜 / アンホテリシンB / KAT1チャネル / 電気的中性則 / 電気化学測定 / リポソーム |
Research Abstract |
物質収支と電気的中性の原理を念頭において、膜を介したイオン透過についての新規解析法の構築を試みた。 1. K^+チャネル(KAT1)を含む平面脂質二分子膜を介したイオン透過(白井、窪田(D1)) 植物の孔辺細胞に存在するK^+チャネル(KAT1)の活性を調べる目的で、平面脂質二分子膜(BLM)を形成した電気化学セル系にKAT1チャネルを含むプロテオリポソームを添加し、イオンチャネルによる膜輸送について検討した。生体由来のイオンチャネルはチャネルタンパクを取り出す際に界面活性剤を可溶化剤として用いるため、膜融合後のBLMは不安定となり、定量的な測定が困難であった。そこで、膜を形成するフィルムの材質や形状を変えてみたところ、安定性が少し向上した。さらに、プロテオリポソームがBLMと融合しやすいように、水相体積の減容やリポソーム内の浸透圧を高めるなどの工夫も行ったところ、測定時のBLMの安定性が向上し、阻害剤や対イオンの影響を評価できるようになった。 2. アンホテリシンBを含む平面脂質二分子膜を介したイオンの透過(白井、山内(M2)) アンホテリシンB(AmB)はステロール類と1:1で結合し、これが複数集まってイオンチャネルを平面脂質二分子膜中に形成することが知られている。AmBチャネルを介して各種有機酸イオンが膜透過することは既に報告した。平面膜を用いた電気化学測定では、膜電位印加に応じて対イオンであるカチオンと同時に逆方向へ有機酸イオンは移動した。このとき、有機酸イオンの分子量と透過係数は反比例関係になっており、分子量が250程度以上のものは透過できないことが判明した。さらに、チャネル孔径より大きな物質(NADHなど)はチャネル孔を介して透過できないことをリポソーム内からのそれらの流出挙動の観察から確認した。
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Research Products
(21 results)