2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550086
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
田端 正明 Saga University, 理工学部, 客員研究員 (40039285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高椋 利幸 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (70291838)
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Keywords | イオン液体 / 混合溶媒 / 溶媒クラスター / 高分子 / キャピラリー分離 / フローインジェクション / FIA |
Research Abstract |
本研究の目的は混合溶媒中の溶媒クラスターの生成と溶媒クラスター間の溶質の分配に基づく、分離カラム不要の新しい流れ分離分析法を創成することである。初年度は、イオン液体と水との混合溶媒を用いてフェノール化合物の分離を行い、(1)イオン液体の種類による分離の違い、(2)高分子共存下における分離、(3)イオン液体の溶媒クラスターの生成について研究した。 その結果、(1)フェノールの分離は、イオン液体、1,butyl-3-methylimidazolium salts,[BMIM]^+X^-(X^-=Cl,Br,BF_4,CF_3SO_3)では、capacity factor,separation factor,theoretical plate numberにおいて、[BMIM]+BF_4-^が全て最良の結果を示した。αまた、長鎖アルキルイオン液体、[C_<10>MIM]^+Br^-及び[C_<12>MIM]^+Br^-は4種のフェノールを定量的に分離し、理論段数は4万、理論段数高さは数十μmであった。(3)高分子を添加すると分離能が著しく向上した。中でもpoly(N-isoprpylacrylamide)は理論段数70万を示した。これはカラムを用いるクロマトグラフィーと同じか、キャピラリー電気泳動に相当する値である。 この原因を解明するために、東海村原子力機構、東京大学物性研究所附属中性子科学研究施設でイオン液体の水溶液の中性子小核散乱を測定した。その結果、[BMIM]^+BF_4^-は明確なミクロ溶媒クラスターを生成するが、それ以外の陰イオン(Cl^-,Br^-,CF_3SO_3^-)のイオン液体は溶媒クラスターの生成が見られなかった。また、[C_8MIM]^+Br^-は高濃度でミセルを形成しその構造解析を行った。以上の結果より、疎水的な陰イオンほど、アルキル鎖が長いほど、高分子の疎水性が大きいほどミクロ溶媒クラスターが形成されやすく、フェノールの分離は向上した。
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