2009 Fiscal Year Annual Research Report
複合動態解析に基づくメタボリックシンドローム評価法の開発
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21550089
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
楠 文代 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 薬学部, 教授 (70057371)
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Keywords | メタボリックシンドローム / コレステロール / 酸化ステロール / 動脈硬化 / 心筋梗塞 / 低比重リポタンパク質 / 糖尿病 / 遊離脂肪酸 |
Research Abstract |
糖代謝及び脂質代謝に関与する生体成分の高感度・高精度分析法の確立 1.酸化ステロール:メタボリックシンドロームの終末像である心筋梗塞は、冠動脈における動脈硬化を基盤として発症する。動脈硬化の原因と考えられている酸化LDL(低比重リポタンパク質)に含まれる動脈硬化惹起性物質のうち、コレステロールの酸化体である酸化ステロール(7種)に注目して、電気化学検出HPLCによる分析法を開発した。本法は、12.5~250pmolの範囲で相関係数0.999以上の直線性を示し、日内及び日間変動の相対標準偏差(RSD)3%以下の、高感度かつ高精度な測定が可能であった。ヒト血清から超遠心法によって精製したLDLを銅(II)イオンで処理して酸化LDLを調製し、本法を用いて酸化ステロールを一斉分析したところ、回収率78.0%以上、RSDが3.0%以下であった。本法は、酸化LDLの動脈硬化惹起性のメカニズムの解明に有用な手法となると考えられる。 2.遊離脂肪酸(FFA):FFAは糖・脂質代謝に関与する重要物質であるが、生理的因子により影響を受けやすい、簡易な分析法がないことを理由に、病態把握を目的とした測定は行われてこなかった。本研究では、病解把握に適応できる分析法として、FFAを簡便かつ微量サンプルで測定できる電気化学検出HPLCを開発し、これを1型糖尿病ラットの血中FFAの動態分析へ応用した。本法は、3.75~850pmolの範囲で相関係数0.999以上の直線性を示した。1型糖尿病ラットの血中オレイン酸は健常ラットに比べて著しく高濃度であった。インスリンを静脈内投与したところ、1時間後に血糖値とFFAは顕著に減少し、健常ラットとほぼ同じレベルを7時間後まで維持できた。本法は、FFAの糖尿病に対する影響の解明や糖尿病治療薬を評価する分析法として有用であると考えられる。
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Research Products
(5 results)