2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550090
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
藤原 祺多夫 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (90090521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 元秀 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (30418917)
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Keywords | 蛍光相関法 / FCS / 粘度 / エタノール / 混合溶媒 / タンパク質 / 金属変性 |
Research Abstract |
本年度は、浜松ホトニクス製のオプティカルブロックを組み合わせ、共焦点光学系を組み立てた。オプティカルブロックを組み合わせた共焦点光学系は、調整が難しく、幾つかの改良を加えた(サンプルホルダー、出口スリットの位置調整)。この結果比較的短時間に、共焦点系を構築できるシステムが実現できた。 この装置のより、まず水/エタノール混合溶媒における粘度分布を、測定した。対象に用いた色素は、ローダミン6Gである。水/エタノール系では、エタノールのモル分率が0.23付近で最大の粘度を与えるが、キャノン・フェンスケ粘度計によるマクロ粘度、および蛍光相関法の色素の拡散時間から算出されるミクロ粘度の双方の実測値について、最大粘度を与えるエタノールモル分率は、ほぼ一致した。ただしアルコールのモル分率が0.23を超えた領域では、見掛け上蛍光相関法から算出される粘度は、マクロ粘度に比較して高い粘度を与えた。この事は言い方を変えると、エタノールモル分率の低い側では、マクロ粘度より、蛍光相関法によって与えられる粘度は(メモリを大きさを変えると)小さくなると言い変える事も出来る。多くの分光学的測定から、水/エタノール混合溶媒系において、エタノールモル分率の低い領域では、色素分子は(疎水性であるため)エタノールのクラスターの周囲を取り囲まれ、その周辺を水が取り巻く構造になっているとされている。従って、蛍光相関法の色素のブラウン運動に基づく粘度は、エタノールモル分率の低い領域ではこうした溶液構造によって、見掛け上マクロ粘度よりも小さい粘度が与えられる事が考えられる。 なお蛍光標識したタンパク質(Anti-human VEGF R2/KDR-Phycoerythrin:モノクロナール抗体)を用いて鉛(II)イオン添加によるの変性状態を試験的に調べたが、鉛(II)イオンをpH6.5でμMレベルで添加したところ、拡散時間が増加、すなわち見掛け上分子量の増大が起きている事が見出された。今後詳細にタンパク質の金属変性について調べていく予定である。
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Research Products
(4 results)