2009 Fiscal Year Annual Research Report
高極性官能基の不斉水素化によるキラル化合物の効率的創出
Project/Area Number |
21550096
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 正人 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 准教授 (20293037)
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Keywords | 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 水素 / 省エネルギー |
Research Abstract |
独自に見いだした2-オキサゾリジノンを出発とする1, 2-アミノホスフィン化合物合成法を利用してさまざまなキラル1, 2-アミノホスフィン化合物を合成し、これをCp^*Ru(II)フラグメントに導入して新たなキラルCp^*Ru(PN)錯体の触媒ライブラリを構築した.さらにこれらを利用してさまざまな双環性対称イミド類の非対称化を伴うエナンチオ選択的水素化反応を開発し,他法では得がたい多官能基化された環状キラル化合物を迅速簡便に供給する方法を開発した.さらにイミド類よりも還元の難しいエステルやラクトン類の水素化反応に有効な分子触媒系をあらたに見いだすすとともに,触媒分子をキラル修飾することによりラセミ体エステルの動的速度論的分割を伴うエナンチオ選択的水素化反応を開発し,光学活性アルコールを得る新たな方法を案出した.この二つの方法はこれまでにまったく類例を見ない触媒的水素化反応でありながら,省力的な方法で高付加価値化合物を得る魅力的な手法を提供するものである. またハーフサンドイッチ構造をもつ新たな分子触媒として,キラルSN配位子を導入したルテニウム錯体やテザー型のアミン配位子をもつロジウム錯体などをあらたに合成しそれらの構造と反応性を明らかにした.特に前者は不斉水素移動型還元反応の触媒として有効であることを明らかにし,広範なカルボニル化合物から二級アルコールを高エナンチオ選択的に得る簡便な新手法を提供し得ることを明らかとした.
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