2010 Fiscal Year Annual Research Report
高極性官能基の不斉水素化によるキラル化合物の効率的創出
Project/Area Number |
21550096
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 正人 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (20293037)
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Keywords | 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 水素 / 省エネルギー |
Research Abstract |
これまでに開発したCp^*Ru(PN)錯体触媒に関連し,等電子構造をもつテザー型構造を持つロジウムやイリジウム錯体をあらたに創製し,これらがケトン類の不斉水素化反応触媒として機能して光学活性2級アルコール類を効率よく与えることを見いだした.またCp^*Ru(PN)錯体触媒と構造類似のアレーンルテニウム錯体と2-アミノエタンチオール配位子からなる触媒系がケトン類の不斉水素移動型還元反応に有効であることはにすでに報告していたがその作用機構と触媒分子の設計指針が不明瞭であったので,そのメカニズム解明にとりくみ,単核ハーフサンドイッチ構造をもつ配位不飽和ルテニウム中間体がプロトン移動に対して重要な役割を担っていることを明らかにした.この結果,光学活性2-アミノエタンチオール類を活用する自在なキラル触媒デザインが可能となった.さらにアルコール類の可逆的な水素移動に対して有効であったCp^*Ru(PN)錯体の配位子部分の構造修飾を通じて,非対称ジオール類の酸化的ラクトン化における位置選択性制御に成功し,リグナン類の合成プロセスの鍵反応として利用可能であることを示した また容易に調製可能な面不斉9員環不飽和分子に着目し,不飽和部位と遷移金属フラグメントとの反応によって得られる錯体の構造を精査することを通じて,不飽和結合上の特異な混成軌道とこれに起因する制限された分子運動との関係を明らかとした.さらに反応性に富む不飽和結合が金属錯体形成を通じて化学的に保護されることを利用して他法では困難な分子変換を開発した.またこの面不斉9員環不飽和分子の触媒的不斉合成法の開発に新たに成功し,より自在な類縁体合成とその立体化学挙動の解明に新たな道を開いた
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