2010 Fiscal Year Annual Research Report
主鎖パイ共役系と電子相互作用する側鎖置換基を有するパイ共役高分子の合成と物性
Project/Area Number |
21550113
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 隆一 東京工業大学, 資源化学研究所, 特任教授 (10016743)
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Keywords | 高分子合成 / 高分子構造・物性 / 自己集積化 / パイ共役高分子 / ポリチオフェン類 / ポリフェニレン類 / ポリチアゾール類 / 導電性 |
Research Abstract |
チオフェン、チアゾール等の複素環やパラフェニレン等の芳香族基からなるパイ共役高分子は、電子・光機能性高分子として着目されている。これらの高分子は電子部品の作製において一部工業化され、さらに高分子太陽電池、高分子トランジスター等への応用が進められている。本研究では、この様な高分子において、さらに側鎖に複素環基等の主鎖と電子相互作用する基を有するものについて研究した。高分子の合成においては、遷移金属錯体を用いる炭素-炭素カップリング反応を主として用いた。 研究の対象としたパイ共役系を有する高分子としては、(1)側鎖にベンゼン縮環系を有するポリパラフェニレン類及びポリチオフェン類、(2)側鎖にチオフェン環による基を持つパラフェニレン単位を持つパイ共役高分子、(3)側鎖にチオフェン環による基を持つチアゾール単位からなるパイ共役高分子等を合成した。そして、これらのパイ共役高分子について、(ア)X線回折法によるパッキン構造の解析、(イ)紫外・可視分光法による電子状態の解析、(ウ)電気化学的解析による酸化・還元電位の測定、(エ)導電率の測定等を行い、得られた高分子の特徴を明らかにした。これらの高分子のいくつかは、自己集積構造をとりパイスタッキングを行っていると理解されるX線回折パターンを示した。また、側鎖にチオフェン環による基を持つパイ共役高分子がアルキル基を側鎖に持つパイ共役高分子よりも高い酸化電位を与えることが分かった。さらに、側鎖にベンゼン縮環系を有するポリチオフェン類(ポリイソチアナフテン類)で、182Scm^<-1>の高い伝導性を示す高分子も見出された。
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