2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550119
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
竹下 道範 佐賀大学, 工学系研究科, 准教授 (40274534)
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Keywords | フォトクロミズム / 光アクチュエーター / 超分子 / 有機合成 / ソフトマテリアル / 水素結合 |
Research Abstract |
本研究の目的は、光照射によって水素結合性超分子ポリマーの形成・解離を可逆的に行い、ナノ構造を光可逆的に構築・解離する化合物を開発することである。本年度は、この目的を達成するため、(1)光可逆性4点水素結合性超分子ポリマーを混合したエラストマーの光動的挙動、(2)光可逆性3点水素結合性超分子ポリマーの開発をおこなった。(1)については、まず、フォトクロミックジアリールエテンの両端に、ウレイドピリミジノン部位を持った化合物を合成した。このフォトクロミック化合物と、水素結合性超分子を形成するモノマーを混ぜることで、水素結合性超分子ポリマーを得た。この超分子ポリマーをスピンコーターで薄膜とした。この薄膜は、溶液中と遜色ないフォトクロミック反応を行うことがまず、明らかとなった。一般に、ジアリールエテン化合物は薄膜中で極端に光反応性が低下することが知られているが、この高い反応性は、薄膜中でフォトクロミック分子がしっかりと固定されているためであると考えられる。一方、この薄膜は、光照射即ちフォトクロミック反応に伴って、動的挙動を示した。今のところそのし原因は不明だが、比較的厚い膜中に生じた濃度勾配によるものであると考えている。(2)については、分子間3点水素結合を行う、クラウンエーテル部位と1級アンモニウム部位を両端に持ったジアリールエテン化合物を開発した。この化合物の開環体は、溶液中で超分子ポリマーを形成しないが、紫外光照射によって閉環体となると、100nm以上の直径を持った超分子となる。この超分子は可視光照射によって元のモノマーに戻り、光可逆的超分子形成が3点水素結合性超分子においても見いだされた。
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