2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550119
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
竹下 道範 佐賀大学, 工学系研究科, 准教授 (40274534)
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Keywords | フォトクロミズム / 光アクチュエーター / 超分子 / 有機合成 / ソフトマテリアル / 水素結合 |
Research Abstract |
平成23年度は、交付申請書に示した、以下の実施計画に従って研究を進めた。 (1)光可逆的に超分子形成を行う3点水素結合性モノマーの分子設計と合成 (2)得られた化合物の光可逆的超分子形成の検討 (3)超分子エラストマーの作製とその光動的挙動の検討 それぞれについて、得られた成果を示す。 (1)(2)我々は、フォトクロミックジアリールエテンの片方にベンゾ18-クラウン-6エーテル、もう片方に1級アンモニウ広イオンを持った、新たな化合物を開発した。この化合物は、開環体では弱い分子内水素結合を形成し、単分子で存在すると考えられる。一方、光照射後の閉環体ではこれら2つの部位は両端に固定化されるため、分子間水素結合を形成し超分子となる。そこで、標的化合物を合成した。得られた化合物は、溶液中でフォトクロミズムを示し、光照射によって水素結合性超分子の形成・解離を行うことを動的光散乱を用いて明らかにした。すなわち、実施計画は達成されたと考えている。 (3)4点水素結合可能なウレイドピリミジノン部位を両端に持つフォトクロミックジアリールエテンと、エラストマーを形成するウレイドピリミジノン誘導体を混合し、薄膜を形成することで、フォトクロミックエラストマーを開発した。得られたエラストマーは紫外または可視光照射によって吸収スペクトルが可逆的に変化し、フォトクロミズムを示した。また、光照射によってフィルムの形が変化した。すなわち、開環体のフィルムに紫外光を照射したり、閉環体のフィルムに可視光を照射したりすると、フィルムの形が変化することを見いだした。この変化は、サーモグラフィー測定や水中での異性化を行うことによって、純粋に光反応によるものであることを見いだした。このような、超分子ポリマーフィルムの光駆動は報告例がなく、新しいタイプの「光アクチュエーター」を開発したといえる。
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